世界を支配する王 その25
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『ダライ・ラマの闇』
http://www.iivs.de/~iivs01311/SDLE/Contents.htm
yasuさん翻訳による7章です。
7.カーラチャクラ:内部のプロセス
これまでは儀式の外界で何がおこるかについてだけを述べてきたが、知覚できるタントラステージには、ヨガ行者の「内面」、つまり彼の意識と神秘的な体と呼ばれる物との相関関係がある。ここではこの「内側の劇場」を調べてみよう。それは外部の出来事と平行して動いている。
21世紀の解剖学的方法で訓練された人は、タントラ生理学の概念を熟知することで神の寛容性を要求するが、タントラでいう体は、生命エネルギーが流れる、大きな、そして小さな多くのチャンネルのネットワークから成っている。これらは「静脈」または「川」(nadirtsa)として知られている。このダイナミックな体の構造はVajrayanaの発見ではなく、前仏教の時代からのものだ。すでにウパニシャド(9世紀B.C.E.)にもそれを見ることができる。
3つの主なチャンネルが、人の巧妙な身体システムの中心軸であると考えられている;これらは、脊柱の下部から頭まを走っていて、タントラのすべてがそうであるように、性が割り当てられている。左のチャンネルはlalana(またはida、kyangma、da-wa)と呼ばれ、男性的であり、シンボルは月と元素の水である。右の女性的なチャンネルはpingala(またはroma、nyi-ama)という名前で呼ばれ、火と太陽に関連づけられているが、仏教タントラはこのふたつ火と太陽を女性的な物とみなしている。中央のチャンネル(avadhutiまたはsusumna、ooma)は両性具有的である。それはとりわけ宇宙の元素を意味している。 生命エネルギーの全ては、風の助けを借り、これらのチャンネルを通して動かされるが、タントラでは呼吸のさまざまな形をなしている。
単純化された描写では、左側の男性的なチャンネル(lalana)は白く水のような精液で、右側の女性的なチャンネル(rasana)は、赤く燃えるような月経の血で満たされている。中央のチャンネルは、対照的にもともとは空っぽである。ヨガ行者は神聖なものを通し、たいへんな痛みを伴う技術を用いて、このメインチャンネル(avadhuti)に両側のチャンネルから物質を押し入れる。このようにつくられる混合物(sukra)は啓蒙エネルギー体として彼の全身の中を流れ、彼を中性的な「ダイヤモンドの存在」に変え、彼の中で男性と女性の根本的なエネルギーを結びつける。
これら3つのチャンネル全ては、ヨガ行者の身体で見ることのできる5つのエネルギーセンターを通り抜けるが、それはチャクラ(車輪)または「蓮の円」として知られている。チベット仏教においては、へそのチャクラから数え始め、心臓、喉、額のチャクラを通り、頭頂の最も高い1000倍のハスに至る。それぞれの「エネルギーの車輪」と5つの要素の同一視が、タントライニシエーショのためには非常に重要となる:へそ=土 ; 心臓=水 ; 喉=火 ; 額=空気(風); 最も高い蓮(頭頂)=空間(エーテル)のようになる。同様にチャクラはいろいろな感覚や感覚物に割り当てられている。これらは5のグループに分けられ、ハスの中心(チャクラ)には更に多くの働きがある:5つの「至福」は、5人の瞑想するブッダとその知恵配偶者や5つの方向として、その中に見いだされる。
微細なエネルギーチャンネルが「車輪」から広がり、生理的神経系のように全人体を通して分岐している。タントラでは、ヨガ行者の「微妙な」身体を作るハスの中心と3つの主なチャンネルとともに、合計72,000の微細なチャンネルを記述している。「普通の人間」では、このネットワークはブロックされていてエネルギーは自由に流れることができない。チャクラは「死んでいて」、「車輪」は動くことはなく、精神的な現象の認識も制限されている。そしてまた「結び目」についても述べてみることにする。
ヨギ自身や彼の生徒の結び目を解くことがヨガ行者の最初の仕事であり、これは全身を神の力で満たすために、ふさがれた経路を自由にしてきれいにすることである。両脇の2つのチャンネル(lalanaとpingala)は通常その性的特徴によって上と下の流れに分かれるエネルギーをもつが、Guhyasamajaタントラによってこのふたつの流れの障害を取り除き、男性的、女性的な物質をavadhuti(中央のチャンネル)へ導き入れることで「結び目」を解くことができる。オリジナルのKalachakraテキストでは、チャンネルの解剖はたいへん複雑なものである。 [1]
タントラの演出法は、ヨガ行者の内側の3人の主人公の間で演じられている ? 男性的、女性的、そして両性具有的原理がそれである。これらにはタントラの性的なパターンを反映した3つの主なエネルギーチャンネルが対応していて、男性的なlalana、女性的なpingala、両性具有的なavadhutiとなる。ハスの中心(チャクラ)は、この三位一体の関係をめぐって展開する場面におけるそれぞれの舞台装置といえる。このように、タントラマスターのイベントの小宇宙的「内部」世界が、すでに話したような外部の儀式と一致するならば、我々は彼の「内部」にあるもののクライマックスを外部のパフォーマンスに再発見するはずだ:たとえば、タントラの女性の犠牲、女性エネルギーの吸収、両性具有の創造、すべての体の部分の破壊と復活など。これらの「内部の」手順を調べてみることにする。
図:内部の3つのチャンネル(脚注1を見てください)
http://www.iivs.de/~iivs01311/SDLE/Part-1-07.htm
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脚注
[1] Kalachakraタントラは 3つの主なチャンネルを上にあるものと下にあるものに分けている。上においては、次のように分けられている:左 ? 月(男性的);右? 太陽(女性的);中央 ? ラーフ(両性具有)。ラーフは、太陽や月の食を引き起こす想像上の惑星である。上の3つのエネルギー流は、このように惑星性格を備えている。下においては、ヨガ実習の前に3つの経路で見つかる物質とされる:左 ? 尿; 右 ? 精液; 中央 ? 排泄物。これは上と下のチャンネルがその位置を変えるという事実のためにより複雑になっている。lalana(月、左上)は、下においては真ん中にあり排泄物で満たされる。pingala(太陽、右上)は、左下の尿を満たすチャンネルに結ばれる。上において真ん中にあるラーフは、下においては精子のチャンネルとして右に見つかる。上下のチャンネルにも異なる名前があって、男性と女性で異なる物質で満たされる。(以下略 脚注ここまで)
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つづく
by mayufuru
| 2008-12-02 20:29